船橋の実家を離れ、関西で一人暮らしOLをしていたことがあります。その時お付き合いし

ていた人との間に子供ができてしまいました。望まない妊娠であったため、やむなく堕ろ

してしまいました。

 

堕胎の理由は、彼が既婚者であったためです。妊娠を知らせた時の彼の顔を今でも夢に見

ます。思い出すたびにぞおっとします。彼には家庭があり、単身赴任で関西に来ていたの

でした。わたしは、なにも知らされていませんでした。

 

その後何年かして、結局わたしは船橋の実家に戻りました。子どもの件は、誰にも言って

いません。「仕方なかった」という気持ちと、「自分には幸せな家庭を持つことなんて無

理」というその二つ、頭からこびりついて離れません。考えようとすると思考停止してし

まう状態が長く続きました。

 

そんな中、それでもわたしは結婚することになりました。

プロポーズを受けたとき、わたしは、即答でOKしていました。うれしくなかったと言えば

うそになります。しかしその晩から、これまで凍結してきた思いが一気に溢れ返り始めま

した。

 

家族といるときはふつうです。でも、部屋に戻って一人になったとき、お風呂につかって

いるとき、さあ寝ようと布団に入ったとき、そんなタイミングで水子のことを想い涙が止

まらなくなるのです。

 

結婚する彼に、実はまだそのことについて何も話せていません。一応自分なりに気持ちを

整理して、まずはその件について、どう伝えるべきか、それ以前に伝えるべきなのか?そ

のことを相談するため、母の元を訪れたのです。

 

母の前で、わたしは思い切り泣いてしまいました。水子のことを話すのはもちろん、ひと

前で泣くことも、これまで絶対ありえないことでした。そこでようやく、思考停止して抑

え付けてきた悲しみの封印を解くことができたのです。

 

彼には早く伝えないといけない、そのことは分かっています。でも、気持ちの整理につい

てはまだまだ時間がかかりそうです。でも、母がいてくれたらきっとうまくいく。そう思

うことができて、とても気持ちが楽になりました。これからもよろしくお願いしたいと思

っています。